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【JING】君はオレの宝物。 番外編集

第1章 出会い*ジン視点



 オレは相棒のキールとジパングのお宝を探っていた。

 城下町での聞き込みはほとんど役に立たなかった。

 皆そんなもの知らないという。

 だが替わりに皆の口から出たのは、ひとりの義賊の少女だった。


「どんなコだろうな、ジン。カワイコちゃんだといいなぁ~」


 キールが肩の上でいつものように妄想を膨らませている。

 そのときはまだ、オレは「そうだな」とただ相槌を打っただけだった。



 それは、初めて城に潜り込んだ夜。

 オレは見つけた。

 真剣な眼差しで、存在するのかさえわからないお宝を必死に探す少女を。


「おい、ジン! あれ! あのコじゃねぇか!? ほら、皆が言ってた……」

「キール」


 興奮した様子のキールを遮ってオレは言う。


「明日、朝一で予告状を出す」

「あ? だって、まだ」

「ジパングのお宝、見つけたぜ」


 オレの呟きにキールが「は?」と首を傾げた。





 彼女の名前を知ったのはそれから数日後のこと。

 オレたちがお世辞にも栄えているとは言えない城下町をぶらぶら歩いているときだった。

 前方から難しい顔をして歩いてくる少女に、オレとキールは顔を見合わせた。


「ジン、あのコ」

「あぁ」


 当の彼女は考え事に夢中になって周りが見えていないようだ。

 おそらくオレが城主に予告状を出したせいで、厳戒態勢に入ってしまった城のことを考えているのだろう。

 その真剣な表情に思わず笑みがこぼれる。……オレのせいなんだけど。

 このまま行くと確実にぶつかる。

 ……そんな出会いも面白いかもしれない。

 オレはそのまま進むことにした。

 キールがそんなオレの顔を不思議そうに覗き込む。

 そして、案の定オレと彼女は軽くぶつかった。


「きゃっ」


 彼女が小さく叫び声を上げる。

 そして焦ったようにこちらを見上げて「ごめんなさい」と謝った。

 すぐにキールがいつもの調子で話しかける。

 そして、


「わたしは、唯よ」


そう言って彼女は笑った。


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