第7章 長男様だよ?【おそ松】
何か、聞こえた気がしたかと思えば、急に腕をつかまれ、世界が反転する。
その際、足がもつれて後ろに倒れてしまった。
『うわっ!』
おそ「ははっ、色気のかけらもないね」
そうやって、愉しそうににやりと笑う。
幸いにも、ベッドの上に倒れたから、痛くはなかった。いや、これは幸いと言うのだろうか。
『ちょっと!離してください!!』
おそ松さんはいつまでもわたしの腕から手を離さずに、むしろ強くベッドに押さえつけてくる。
おそ「やだね。こんな転機をみすみす逃すわけないじゃん」
『こんな冗談、面白くありません』
おそ「冗談じゃないし。………マジだから」
耳元で囁くようにそう言った声は、妙に艶かしくて、ドキドキするのと同時に怖かった。