第5章 甘い甘い練習
一「………………」
『目で訴えてもダメです』
一「おかえりなさいませ、お嬢様」
うん、この慣れない感じいいです!
しかも、若干顔が赤い。これなら、女性心を鷲掴みできるはず。
無言で隣に腰掛ける。
一「何か飲みますか」
『はい、じゃあ一松さんのおすすめで』
一「承りました、お嬢様」
なんて言うのかな………。
あんまり話したことなかったから?
なんか、新鮮で楽しい。
一「……どうぞ」
『ありがとうございます』
そう言って、一口飲む。
すごく香りの強いシャンパン。口の中で炭酸がはじけて、口の中がさっぱりする。
一「……どう?」
一松さんが不安げにわたしの言葉を待ち続ける。
『美味しいです』
その一言で安心したのか。
一「そう、よかった」
ふわりと微笑んだ。
にやりと笑ったところしか見たことがなかったからなのかな。それとも、さっき飲んだシャンパンのせい?
ドキドキする。
もう!なんで今日はこんなに調子が狂うのかな。
『………次、十四松さん』