第5章 甘い甘い練習
きりっとおそ松さんの表情が変わる。
こういう所、さすがだな、と思う。
…………認めたくないけど。
おそ「おかえりなさいませ、お嬢様」
柔らかくも、何か怪しい笑みを浮かべて、胸の前に手を置き、一礼する。
この動作だけで、かっと頬に熱が上るのを感じた。
自分でも分かってる。
多分、今のわたしの顔、絶対赤い。
おそ「どうされました?頬が真っ赤ですよ?ひょっとして、熱が………?」
そう言って、そっとわたしの頬に手を重ねる。
絶対、分かっててやってる。
いくら言動が執事っぽいからって、彼の本質は変わってない。
請求書を突き出された時と同じ、ニヒルな笑みを浮かべてる。
でもね………
『ベタベタしすぎです!!』
そう言って、わたしは頬に重ねられた彼の手を捻りあげた。
こうでもしないと逃げられないと思ったから。
『次!カラ松さん!!』