第1章 初のご来店
由美とわたしが………、いや、わたしが呆気にとられているのを見たウエイターさんが拳をわなわなと震わせる。由美はあっけに取られるどころか、目をキラキラさせながら同じ顔×6を眺めている。
「おい………お前ら……」
低い声が聞こえた隣を見てみると、そこに先程までとはまるで別人のようなウエイターさんがいた。取ってつけたような胡散臭い笑顔はなく、ただただ怒りに歪んでいた。
「真面目にやれ!」
「…………はい」
「申し訳ございませんでした。うちのバカ共がご迷惑をおかけしまして」
『あ、あははは』
いや、ここは笑うしかないでしょ。
このウエイターさんの切り替え方、上手すぎ。もう別人じゃん。