第5章 平行する想い
「あれ?莉緒ちゃんは?」
皆の元に帰ると、莉緒ちゃんの姿が見当たらなかった。
「向こうの主将に呼ばれて金田一と岩泉と一緒に食堂行った。」
「食堂?」
「食堂のおばちゃん達がお前のファンらしくて差し入れがあるから昼食べたら取りに来いって言われてたんだってよ。」
「同年代の女の子達だけじゃなく、おばちゃんも虜にしちゃう俺って罪かな。」
「おばちゃん達もお前の中身知ったら一瞬でファンやめるだろうな。」
「ちょっとそれどういう意味!?」
「そのまんまの意味だろ。」
ふと、大学生達の方を見ると、四宮さんの姿もなくて、もしかして四宮さんも食堂の方に行ったんじゃないかと思い、俺も食堂の方へ向かった。さっきの様子からすると強引にでも莉緒ちゃんと話をしようとするような勢いだったし、岩ちゃんが一緒にいたんじゃ、話になんてなるとは思わないし、そう思い、おばちゃんと達に直接お礼を言いに行きたいからと理由をつけて、体育館を出た。