第5章 平行する想い
「及川。」
「はい。」
「ねえ、青葉城西はレギュラーじゃない奴らは皆マネージャーかなんかなの?」
笑顔で腕を組みながら俺に声を掛けてきた四宮さん。笑顔だけど、かなり怖い。莉緒ちゃんと全然話せてない事でかなり機嫌が悪い様子。
「話す機会くれるって言ったじゃない!どうにかしなさいよこのグズ!」
まだ出会って、たった二日しかたたないのに、グズ扱い。俺だってどうにかしたいとは思ってるけど、岩ちゃんが番犬みたいに莉緒ちゃんにひっついてて、その子分みたいに皆が莉緒ちゃんを取り囲ってて、そこから莉緒ちゃんだけ連れ出すなんて不可能に近い。岩ちゃんがいない時ならまだどうにか出来るかもしれないけど、岩ちゃんが莉緒ちゃんから離れる時っていうのは、俺が莉緒ちゃんから離れる時でもあるから、岩ちゃんの目の前で莉緒ちゃんを連れ出さないといけない訳なんだけど、絶対理由聞かれるし、そこを突破したとしても、絶対岩ちゃんついてくるだろうし。
「もういい。アンタなんか頼らない。他人に頼もうとした私が馬鹿だった。」
そう言って四宮さんは去っていった。