第5章 平行する想い
翌日駅に集合し、そこから皆で電車に乗って大学へと向かった。駅に着いた時から、昨日以上に岩ちゃんが莉緒ちゃんにべったりだった。他の部員達もいつも以上に莉緒ちゃんにべったりなのは、やはり昨日莉緒ちゃんの話を聞いたからだろう。元々皆莉緒ちゃんの事を好きだったし、あんな話を聞けば、男としては、黙っちゃいれないだろうし。大学に着く前からこんなにガッチリ固まられて、俺は二人が話す機会を作れるのだろうかと、少し不安になった。
電車を降り、大学に着くと、四宮さんが出迎えてくれた。四宮さんが笑顔で挨拶をすると、それに俺達も挨拶をするけど、莉緒ちゃんの周りを部員達が取り囲む。きっと四宮さんの目線では莉緒ちゃんの姿が見えない状態。
四宮さんに手招きをされ、俺は四宮さんの傍にいった。
「ねえ、何あれ。」
「いやー、えっと、」
「約束、忘れてないでしょうね?」
「はい。」
なんて話をしながら体育館へと案内される。
体育館に着き、早速、大学生との混合チームで試合を進める。普段一緒にプレイすることのない選手達との練習は非常にいい刺激になった。
練習中、何かと四宮さんは莉緒ちゃんに声を掛けようと試みているようだが、レギュラーではない下級生達が莉緒ちゃんに代わって雑用をこなし、四宮さんは莉緒ちゃんと二人で話せてないようだった。昨日態度を改めると言った手前、表面上は笑顔を繕っていたが、機嫌はかなり悪いようで、試合中四宮さんからの視線がかなり痛かった。