第5章 平行する想い
「どうして態と自分が責められるように話すんですか?」
「どういう意味?」
「普通こういう話をする時、自分を擁護するように話すものですよ。なのに、四宮さんは自分が責められるようにしか話さない。まるで、俺に責められるのを待ってるみたいに。」
「私は事実を偽りなく話してるだけ。」
「そうかもしれません。でも、俺には四宮さんが自分の過去の罪の意識から誰かに責められるのを待ってる風にしかみえません。莉緒ちゃんの事、嫌いじゃないですよね?莉緒ちゃんに話があるっていうのも、過去の事を謝罪したいからじゃないですか?」
四宮さんは顔を顰めた。図星だったんだろう。
「…馬鹿な女って思ったでしょ?自分で関係を壊しておきながら、莉緒を失ってから莉緒の存在の大きさに気付くなんて。」
「思いませんよ。四宮さんは、それに気付かせてくれる人がすぐ傍にいてくれなかっただけだったんだと思います。俺も似たような経験があるから四宮さんの気持ちは分かります。けど、四宮さんが莉緒ちゃんにした事については許せないし、俺も岩ちゃんと同じく立場だったら、四宮さんに対して岩ちゃんと同じような態度を取ってるかもしれません。」
きっと俺もその場にいたのなら、岩ちゃんと一緒で四宮さんを非難する立場になっていたと思う。でも、俺が四宮さんと出会ったのは、それが過去となっている今だから。
俺の勝手な想像だけど、莉緒ちゃんは四宮さんとの関係を修復したいと思っている。そしてまた四宮さんは過去の事を謝罪したいと思っているし、修復を望んでる。お互いの気持ちが一緒なら、その蟠りを解いて欲しい。あんなに痛々しくバレーをする莉緒ちゃんを見たくないし、笑っていて欲しい。その為に俺が出来ることがあるならしてあげたい。