第5章 平行する想い
部活が終わり、岩ちゃんと莉緒ちゃんはそそくさと帰って行った。俺は四宮さんと約束したファミレス一人で向かった。
約束したファミレスに着くと、四宮さんは知らない男達と一緒だった。話し掛けられても携帯から目を離さず、スルーしている所を見ると知り合いって訳では無さそう。喋りさえしなければ、四宮さん美人だもんな、なんて思いながら、お待たせと声を掛けると、四宮さんに声を掛けていた男達は男連れかよと舌打ちをして席を離れた。
「莉緒は?」
「岩ちゃんと帰りましたけど。」
「は?莉緒がいないんじゃ話になんない。帰る。」
そう言って席を立とうとする四宮さんの手を掴んだ。
「気安く触るな。」
手を振りほどこうとするが、俺は手を離さなかった。
「莉緒ちゃんから色々話聞きましたよ。昔、随分と莉緒ちゃんの事可愛がってくれてたみたいですね。」
莉緒ちゃんは彼女から何をされなか話さなかった。だから、知りたかった、莉緒ちゃんの過去が。
「莉緒が話したんだ。アンタ何?莉緒の彼氏…な訳ないよね。どう考えたって、アンタ莉緒の好みじゃないし。どっちかっていうと、莉緒の嫌いなタイプそうだし。」
「主将として、部員の事はちゃんと把握しておきたいので。練習に差し支えるようなら尚更。」
そう言うと四宮さんは席に座った。
「莉緒から話を聞いたってことは、私が莉緒の事イジメてたって知ってんでしょ?」
「ええ、まあ。」
「莉緒なんて言ってた?どうせ、泣いて騒いで、アンタ達の同情でもひいたんでしょ?」
「莉緒ちゃんはそんな事しません。それは、あなたの方がよくご存知なんじゃないですか?」
そう言うと、四宮さんは険しい表情を浮かべた。