第5章 平行する想い
「まあまあ、また午後からも練習あるし、部活終わってからでもいいんじゃない?」
そう言って四人の間に割って入った。その場にいる事がかなり気まずかったであろう金田一は、俺がその輪に入ったことで、少し安心したような表情を見せた。
「俺もこんな美人とは仲良くなっておきたいし、俺も入れて四人で部活終わったらごはんついでにどっか行こうよ。」
「私は莉緒に話があるって言ってんだけど。」
折角、上手く話を纏めようとしてるのに、四宮さんはそれを許さない。
気が強くて威圧的、美人だけど、かなりキツいタイプ。そんな彼女を見て、イジメってのも、相当酷かったんじゃないかと色々考える。
莉緒ちゃんもどちらかというと、サバサバしてて、転校してきたばかりの頃の莉緒ちゃんと四宮さんとかぶる所がある。
「まあまあ、皆久しぶりの再会で積もる話もあるだろうけどさ、今は休憩中とはいえど、部活中だよね。」
四宮さんは不満そうな顔でチームの元へ戻って行った。
「莉緒、アイツと話す事なんて何もないだろ。今日は部活終わったらそのまま帰るぞ。」
「でも、私、」
「ダメだ。これ以上傷付く必要なんてない。これ以上頑張らなくていい。」
その言葉に莉緒ちゃんは泣きそうな顔をした。目には今にも零れ落ちてしまいそうな位の涙。でも、莉緒ちゃんは泣かなかった。
「及川、テメーも余計な事すんなよ。」
そうは言われても、関わってしまった以上、何もしないでただ傍観しとくなんて、出来ないし。まあ、四人で話すとは言ったものの、莉緒ちゃんは無理そうだし、岩ちゃんが来た所で怒って話にはならないだろうし。そう思って、部活が終わってから四宮さんと二人で会うことにした。俺と二人だと彼女はきっと来ないだろうから、莉緒ちゃんが来ない事は伏せておいた。