第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
お盆の間は部活が休みだった為、私は休みの間ずっとバレーをしていた。ボールに触れるのは嬉しくて、上手く出来た時はその何倍も嬉しかった。
お盆休みも終わり、また部活が始まった。お盆休み明け、大学生との練習試合を組んでいた。
今日は大学生達が青葉城西に来て練習する事になっていた為、私はいつもより早目に家を出て、念入りに掃除をした。掃除を終えると及川がやって来た。そして、徐々に部員達も集まってきてた。
大学生達が来るのは十時。それまでにドリンクとか準備しておこうと思い、ボトルを持って外に出た。
ドリンクを作り、ボトルを運んでいると、体育館の入口に人が集まっていた。大学生が来る前に、運び終わっとこうた思ったのに。まだ、水道の所にも置きっぱなしのボトルがあったため、私は頭を下げ、大学生の間を割って入った。それに気付いた及川が、私を大学生達に紹介した。
「…莉緒?」
懐かしい声にハッとした。名前を呼ばれた方を見ると、そこには、美鈴さんの姿。どうして、美鈴さんが宮城に…?疑問に思う事は色々あったけど、美鈴さんを前にして、私は何も喋れなくなった。知り合いなのかと聞いてくる及川の質問にも声が出ない。
「高校の時、部活が一緒だったんです。莉緒は莉緒が一年の時に引っ越してしまって、それ以来で、私も大学からこっちに引っ越してきたので、まさかこんな所で再会するなんて思ってなくて、ビックリしちゃいました。
ね、莉緒、久しぶりだね。」
そう言って私に声を掛けてくれた美鈴さんの声は冷たかった。その冷たい視線と声に、あの日の事が頭から離れない。そこにいるのが怖くて、私は声を絞り出した。ボトルを取りに行くといって慌てて体育館を出たが、その声も足も震えていて、水道についた時には、もう足に力なんか入らなくて、その場に蹲った。