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【HQ】Egoist

第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)


一君の胸で溜め込んでいたものを涙と共に吐き出すし、落ち着きを取り戻した。すると、一君に抱きしめられてるのが急に恥ずかしくなって、一君から離れた。一君は私が苦しい時、誰よりも早く気付いて、傍にいてくれ、助けてくれる。私にとって、一君はヒーローだった。

 その後、皆と合流し花火をした。
 花火も終わり、皆部屋に戻った。寝ようと布団に入るも、寝付けず、私は体育館に向かい、バレーをした。少し打つだけのつもりが、気が付けばもう朝で、朝食の準備がある為、慌てて食堂へと向かった。

 その日は、いつもより一際暑くて、練習を早目に切り上げ皆で海に行った。沢山泳いで疲れた筈なのに、やっぱり寝付きが悪くて、夜中に部屋を抜け出し、また体育館へと向かった。そして気が付くと、体育館の入口には及川がいて、外は明るかった。


「及川、おはよう。あれ?もうそんな時間?」


 その質問に及川はまだ五時だよ、と答えた。それに、つい口が滑って、


「え?もう五時?」
「莉緒ちゃん何時からここにいるの?」
「さっき来たとこ。」
「さっき来たのに、もう五時って言うのはおかしくない?」


 案の定突っ込まれた。夜中からいるなんて言って、それが一君にでもバレたりなんかしたら絶対怒られる。ただでさけ、一君に頼りっぱなしなのに、これ以上迷惑はかけられない。体育館を出て行こうとすると及川に手を掴まれた。


「何?」
「莉緒ちゃんだって、俺ら青葉城西の大事なチームメイトなんだから、元気がなかったり、無理してたら心配だし、何か困った事があるなら力になりたいって思う。それは俺だけじゃなくて、皆そうだから、だからなんでも一人で考え込むのはダメだからね。」


 まさか、及川からそんな風に声を掛けられるなんて思ってもいなくて戸惑った。でも、純粋にそう言ってくれた事が嬉しかった。


「ありがとう。及川は、本当にいい主将だと思うよ。」
「え?何、突然。」
「でも、本当に何も無いから。」


 そう言って私は体育館を出た。

 モヤモヤしていた気持ちが及川の言葉で少し軽くなった。





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