第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
男子バレー部のマネージャーになり、練習を通していく中で、私の中での及川の評価は日に日に変わっていった。
部活中、男子生徒に絡まれるようになった時、私を一人で行動させないようにしようと言いだしたのは及川だった。今までだって一人だったし、正直こんなことは慣れっこで、一人で大丈夫だと突っぱねたが、一君に「お前が大丈夫でも、俺らが心配で、そうしたいからそうすんだ。」そう言われ、私は申し訳ないと思いながらも、頷いた。
朝練も、誰よりも早く来て、部活が終わってからもよく一人で残って練習をしてる。
及川は天才だと、そう思っていたが、そうじゃなかった。並ならぬ努力が、彼を初めから天才だと思わせていた。
練習中は相変わらずヘラヘラとふざけた態度ではあったけど、誰よりも部員達の事を見ていた。的確なアドバイスや、さり気ないフォロー。
嫌いだった筈の及川の事が、いつの間にか嫌いではなくなっていた。