第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
次の休み時間、教科書を返しに五組へとやってきた及川君。
「ねえ、ねえ、莉緒ちゃん。放課後、バレー部の練習見に来ない?」
そう言われ、放課後、男子バレー部を見に行く事になった。チームでバレーをしている一君を見るのは初めてだったので、放課後が楽しみで仕方なかった。
放課後になり、バレー部を見に行くと、試合でもないのに、女子の見学者が多い事に驚いた。及川君を見て、かっこいいと口々にする女子達。確かに顔はいいかもしれないけど、私はあの軽い感じがどうも好きになれない。
練習が始まり、一君にトスが上がると、鋭いスパイクが決まった。それを見て、隣にいた女の子達は、一君をかっこいいと褒めていた。その言葉に私も心の中で頷いた。
隣のコートで及川君がサーブを打った。そのサーブの力強さに思わず釘付けになった。そして、そのサーブを見てさっき一君をかっこいいと言った子達は、「でも、やっぱり及川さんだよね。」と言った。
それを聞いて、私は彼の思惑に気付いた。多分、及川君は態とやってる。一君がかっこいいって言われる事を嫌がってる?そんな事を考え乍、一君と及川君の練習を眺めていた。