第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
ある日、一君から電話がかかってきて、私が宮城への引越しが決まった事、青葉城西の編入試験を受けることを一君のお母さんから聞いたらしく、なんでもっと早く話してくれなかったのかと言われた。だから、私は不安に思っていた事を一君に打ち明けた。すると、物凄い勢いで怒られた。
「何があったって俺は莉緒を嫌いにはならねーし、俺が絶対に守るから、だから迷わず青葉城西に来い!」
その言葉に私の迷いは消えた。
そして、宮城へと引越し、青葉城西の編入試験に無事合格した。
運良く、クラスは一君と同じクラス。
六月の半ば、こんな時期の転入生が珍しいらしく、休み時間の度に他のクラスから色んな人が私を見に来た。
「岩ちゃん、現国の教科書貸してー。」
そう言って教室に入って来た男の子は芸能人じゃないかってくらい整った顔立ちで、身長も高く、ビックリした。教科書を差し出す一君を無視し、私に声を掛けてきた彼に、少しイラッとした。そして、岩ちゃんなんか、と言う彼の言葉に腹が立ち、私達の手を触ろうとした彼の手を叩いた。それを見て「及川ざまあ」と笑う一君。及川?まさか、あの、及川君?あの、王子様みたいにキラキラしてた及川君?それが、こんな軽い奴になっちゃったの?
「莉緒ちゃん、久しぶりだね。綺麗になってて誰か分からなかったよ。」
小学生の頃と随分変わってしまった彼と、一君とずっとバレーをしてきたという嫉妬心から、つい冷たい態度を取ってしまった。