第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
福岡は岩手に住んでる頃と比べたら、雪が降ることが少なかったが、相変わらず雪の日は怖かった。雪が続く日は毎日一君に電話をしていた。
三年生に進級し、四月の末、お父さんの転勤が決まった。転勤が決まったとお母さんが話してる時、お母さんは凄く嬉しそうだった。
「莉緒ちゃん、次の引越し先は宮城なのよ。だからね、莉緒ちゃん、一君と同じ学校に行けるのよ。」
お母さんにそう言われ、私は嬉しくてお母さんの前で泣いた。
お母さんから話を聞くと、お父さんはずっと宮城への転勤願いを出していたらしく、それが通り、宮城への転勤が決まったらしい。ただ、編入試験を受け、受からないことには一君と同じ学校には行けない。聞くところによると、青葉城西は進学校ならしく、編入試験も難しいらしい。小さい頃長く海外に住んでいたせいもあってか、国語や日本史が苦手で、勉強もどちらかといえば、得意な方ではなかった。だから私はひたすら勉強を頑張った。バレーサークルをやめ、部活のみにし、家庭教師をつけてもらった。
もし、青葉城西の編入試験を受かって、青葉城西に通えることになって、バレー部に入ったら、また今までみたいになるんじゃないか。しかも、三年生のこの中途半端な時期から部活に入るなんて、今まで築き上げてきたチームの雰囲気を壊してしまうんじゃないか。そして、また今までと同じ風になって、それを一君に見られてしまう。そんな所を一君に見られるのは恥ずかしいし、実際そんな所を見てしまったら、一君も私の事を嫌いになってしまうかもしれない。そんな不安もあって、宮城へ引っ越しが決まった事を一君に話せなかったし、このまま青葉城西の編入試験を受けるべきなのか迷っていた。