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【HQ】Egoist

第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)


 転校先は岩手から福岡と、宮城からかなり離れてしまったけど、あの件以来、お母さんもお父さんも私に気を使ってくれて、夏休みや冬休みの長期休暇の時は宮城に旅行に連れていってくれた。
 夏休みはお父さんとお母さんと三人で旅行に行った。半年ぶりに会う一君は少し身長が伸び、筋肉がついて、男らしくなっていていた。一君と二人でバレーが出来て凄く楽しかった。

 福岡に帰ると一君としたバレーの感覚を忘れないようにまた練習に打ち込む。
 春高地区一次予選は一回戦敗退。
 リベロはスパイクを打てないから、なんだかそれがもどかしくもあったけど、私がボールを拾えばそこからトスが上がり、ボールを繋ぐ事が出来た。そんな当たり前の事が、私は嬉しかった。
 春高地区一次予選敗退により、三年生は引退。元々三年主体だったため、三年生が抜けることで、チームの雰囲気は変わった。私以外のメンバーはとりあえずバレーをしてるような感じで、馬が合わなかった。同級生から陰口を言われるのも知っていたけど、それに耳を塞いで練習に打ち込んだ。陰口は言われるけど、皆私が上げたボールを繋いでくれていた。

 私も、いつか、同じ気持ちでコートに立ってくれる仲間が欲しい。

 そのいつかがくることを信じて私はバレーに打ち込んだ。

 冬休みになり、お父さんは連休が取れず、お母さんと二人で宮城に旅行へ行った。心配症のお父さんは、旅行の間、一君の家に泊めてくれるようお願いをしたらしく、今回は一君の家で二泊お世話になることになった。
 一君が部活から帰ってくるのが待ち遠しくて、雪の中、家の外で帰りを待った。一君は私に気付くと走ってきてくれた。冷たくなった私達の手を握ってくれた。正直、雪が降るとあの日の事を思い出し、悲しい気持ちになる。でも、一君があの時みたいに手を握ってくれるから、心強かった。
 夕食を済ませ、近くの市民体育館に一君とバレーをしに行った。時間も時間だったため、あまり一緒にバレーは出来なかったけど、凄く楽しかった。





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