第1章 最低最悪な彼女
「あれ?岩ちゃんは?」
体育館に戻ると岩ちゃんと莉緒ちゃんの姿がなかった。
「岩泉さんなら、女の子送ってくって出ていきましたよ。」
あの岩ちゃんが女の子を送っていくなんて発想に思いあたったことに正直驚いた。岩ちゃんは女の子に気を遣ったりとかそういうの苦手なはずなのに、まさか岩ちゃん、莉緒ちゃんが好きってことはないよね。
てか、そもそも莉緒ちゃんが転校したのは小学四年生の時で、どうやって連絡を取ってたのかも疑問だし、岩ちゃん達を追いかけようとも思ったけど、俺、莉緒ちゃんの家知らないから、追いかけようにも追いかけられない。
もし、岩ちゃんに彼女が出来て、岩ちゃんとバレーをする時間が減るのは嫌だ。岩ちゃんに対してのライバル意識、劣等感は勿論あるけど、岩ちゃんとバレーをする時間が減るのが何よりも嫌だ。
「及川、追いかける気?それは流石にドン引きだわ。」
マッキーにそう言われ、俺は完全に追いかける事を諦めた。