第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)
その日、私は一君におぶられ、家へと帰った。家に帰りつくまで、一君の背中で私は沢山泣いた。今まで溜め込んでいた事を全部一君にぶちまけた。
家に帰ると、目を真っ赤にしたお母さんと、仕事で忙しくていつも夜中にしか帰ってこないお父さんがいた。
私はお母さんとお父さんに今までの事を全て話した。自分がイジメられてると親に伝える事が怖かった。自分の娘がイジメられてたなんて、お父さんとお母さんはどんな気持ちだろう。そう考えると悲しくて、怖くてたまらなかった。でも、一君が話をしている間、強く手を握ってくれていたから、最後まで話すことが出来た。
両親に話し終える頃にはもう十一時をまわっていて、もう時間も遅いこともあって、一君は家に泊まって行くことになった。一人になるのが怖くて、我儘を言って、一君は私の部屋で寝ることになった。一君は私の手をずっと握っていてくれて、いつの間にか泣き疲れて寝てしまった。
翌朝、両親は校長先生に呼ばれ、学校へと行った。その間、私は一君と家で両親の帰りを待った。私のいない所で話が進められることも怖かったけど、それ以上に美鈴さんに会うことが怖かった。
バレー部が使う体育館は、朝練の時に美鈴さんが鍵を開け、放課後の部活が終わった時に美鈴さんが鍵を閉める。マスターキーは職員室にもあるけど、美鈴さんが休みじゃない限り使う事はない。昨日朝練に美鈴さんは来てたし、部活が休みになったなら、戸締りをしに、美鈴さんが来たという事。つまり、私を閉じ込めたのは美鈴さん。鍵をかけられ、すぐに声を出した。だから、中に誰かいるなんて気付かなかったなんて言い訳は通用しない。
故意に私を閉じ込めたのだ。
そう思うと、悲しくて、苦しくて仕方なかった。あんなに優しかった美鈴さんを変えてしまったのは他の誰でもない、私。そう考えると涙が止まらなかった。そんな私を一君は抱きしめてくれた。