• テキストサイズ

【HQ】Egoist

第4章 追い掛けてくる過去(ヒロイン視点)


 あの日を境に、私の環境は大きく変わった。
 チームメイトからは無視され、部室に置いていた私物は全てゴミ箱に捨てられ、シューズの靴紐は毎日切られていた。それをゴミ箱から拾い、靴紐を予備のものに変え、練習に出るも、誰も私にボールをまわしてくれない。そして、私が上げたトスを打ってくれるスパイカーはいなかった。
 美鈴さんに声をかけようとするも、先輩達に阻まれ、美鈴さんと話すことが出来なかった。先輩達から罵声を浴びせられ、それでも私は部活に出た。

 そんな私に痺れを切らした先輩達に呼び出され、その中に美鈴さんもいた。


「アンタなんかいなければ良かったのに!早くバレー部から出ていってよ!」


 尊敬し、信頼していた美鈴さんにそう言われた。

 後輩にポジションを奪われる美鈴さんの気持ちを私は考えていなかった。大好きな美鈴さんを変えてしまったのは、怪我のせいじゃない。私のせいだ。

 その日はどうやって家に帰ったのか自分でも覚えていない。転校し、環境が変わっても休まず練習していた部活をその日初めて休んだ。楽しみの一つでもあった、一君とのLINEも、私が返信をしなくなり、五年以上続いたやり取りが途絶えた。考えても考えても、どうしたらいいのか分からず、気がつけばボールを持って外で一人バレーをする日々が続いた。こんなに苦しくて悲しい思いをするならバレーなんてしなければ良かった、何度も何度もそう思ったのに、私はまだバレーを続けている。

 美鈴さんに言われた言葉がショックで、一週間部活を休んだが、結局私はまた体育館に戻ってきてしまった。それを見た先輩達からまた罵声を浴びせられた。でも、私にはバレーしかない。また皆とバレーがしたい。もっともっと頑張ればまた認められるかもしれない。そんな淡い期待を寄せ、更に練習に打ち込んだが、部活に出たからと言って、部員達からは避けられ、罵られ、現状が変わる事はなかった。




/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp