第3章 彼女の過去
「うちにもマネージャーがいるので、その子の事手伝ってもらえたら助かります。ねー、温田っち、莉緒ちゃんは?」
「ボトル持って出てったから多分外だよ。」
「すみません、失礼します。」
大学生の後ろから人を掻き分け、ボトルを抱えた莉緒ちゃんが帰ってきた。大学生達が小さく、可愛いと口々にしてるのが聞こえた。そう言わなかった人達も、莉緒ちゃんに見とれていた。
「うちのマネージャーの橋口莉緒です。」
そう言って大学生達に莉緒ちゃんを紹介する。
「…莉緒?」
四宮さんが、莉緒ちゃんを見て驚いた顔をした。そして、莉緒ちゃんも四宮さんの顔を見て驚いた顔、というよりも、怯えたような表情をした。
「え?知り合い?」
莉緒ちゃんに尋ねるけど、莉緒ちゃんは俯いて何も話さず、代わりに四宮さんが、
「高校の時、部活が一緒だったんです。莉緒は莉緒が一年の時に引っ越してしまって、それ以来で、私も大学からこっちに引っ越してきたので、まさかこんな所で再会するなんて思ってなくて、ビックリしちゃいました。
ね、莉緒、久しぶりだね。」
そう言って莉緒ちゃんに声を掛けた四宮さんの声は何だか冷たく聞こえた。
「…ボトルまだ置いてきたままなので、取ってきます。失礼します。」
頭を下げ、足早に体育館の外へと出て行った莉緒ちゃん。
いつもと様子が違う莉緒ちゃんが心配で、俺も追いかけようと、外へ出ようとした。
「ボトル運ぶのは私が手伝うから、練習始めてて。」
まあ、確かに俺が抜けたら練習始められないし、向こうにも迷惑がかかる。だから、四宮さんの言うように、四宮さんに任せた方がいいんだろうけど。
「岩ちゃん!ごめんちょっとお願い!すぐ戻るから!」
「は?!」
どうしても、莉緒ちゃんの事が気になって、岩ちゃんに後を任せ、莉緒ちゃんの事を追った。