第3章 彼女の過去
「莉緒ちゃん!なんて格好してんの!」
着替えを終え、体育館に入ると、Tシャツ姿の莉緒ちゃん。
「誰のせいだと思ってんのよ。着替え持ってなかったんだし仕方ないでしょ。」
いやいやいや、だからって、女の子がこんな男所帯にTシャツ一枚って!
「あー莉緒ちゃんかわいいね。なんかこう、ムラッとくるね。」
「松川、ごめんね。明日洗濯して返す。」
「莉緒ちゃん、俺も替えあるし、俺の着ない?」
「花巻より松川のが大きいんだもん。本当は金田一から借りたかったのに、なんか顔真っ赤にしちゃって、私がセクハラしてるみたいになったから借りれなかったし。」
「俺のTシャツ着てる莉緒ちゃん見たかったのになー。彼シャツいいよなー。萌える。」
「花巻、きもい。」
「そんなこと言わないで莉緒ちゃん、着てよー。なんならこの後俺の家で二人っきりになってからでもいいけど。」
ぶかぶかなシャツを着て、所謂彼シャツ状態の莉緒ちゃんにいつも以上に絡むマッキー。後輩達も、莉緒ちゃんの彼シャツ姿に釘付けだし。
「莉緒、お前なんつー格好してんだ!」
騒ぎの中心に莉緒ちゃんがいることに気付いた岩ちゃんは、莉緒ちゃんの姿を見るなり、部室に戻って行った。まあ、そうだよね、岩ちゃんだって男だし、恥ずかしくて直視出来ないよね。なんて思ってたら、ジャージを抱えて戻ってきた。
「これ腰に巻いとけ。あと、あんま動くなよ。」
そう言って莉緒ちゃんにジャージの上着を渡した。確かに腰にジャージを巻いとけば、風にめくれてとか、走った時に、なんてラッキーな展開を防げるけど、なんかちょっと残念なような。俺だって男だし、そんなラッキーな展開があるなら拾っときたいしね!とか色々考えてると、莉緒ちゃんと目が合った。
「及川死ね。」
「なんでそんないきなり死ねとか言うの!」
「なんかムカついたから。」
「理不尽!」