第2章 彼女の素顔
岩ちゃんとまっつんも戻って来て、マッキーとまっつんとはその場で解散し、俺と岩ちゃんで莉緒ちゃんを家まで送っていくことに。その間も、岩ちゃんはしっかりと莉緒ちゃんの手を握っていた。それを眺める俺。
いつか岩ちゃんも彼女が出来て、こうやって、手を繋いで歩いたりするんだろうな、なんて考えると、モヤモヤしてた気持ちがもっと大きくなった。岩ちゃんは不器用だからきっとどっちかがダメになっちゃう。きっと今なら迷わずバレーを取ってくれると思うけど、もし、これから、岩ちゃんの事を本当に好きで、岩ちゃんも本気で好きになる女の子と付き合ったりしたら、岩ちゃんはバレーを、俺を見捨てるのかな。
「いて!」
突然頭を岩ちゃんにどつかれた。
「ぼさっとしてんなよ。」
そんないつかがこなければいいのに。一度考え出したら、それはなかなか消えなくて、俺の中をぐるぐると回る。
「及川、とろい!」
そう言って莉緒ちゃんは岩ちゃんと手を繋いでいない方の手で俺の手を握った。
「え?」
「あれ?違った?仲間ハズレにされて拗ねてんのかと思った。」
「子供か。」
まさか、莉緒ちゃんが手を繋いでくれるなんて思ってもなくて、考えていた事が一気にすっ飛んだ。
「俺、莉緒ちゃんより岩ちゃんと手繋ぎたいんだけど。」
「は?及川のくせに贅沢言うな!」
「何が楽しくて男同志で手を繋がねーといけねーんだアホ川!」
二人に足を蹴られたけど、さっきのモヤモヤが嘘みたいに消えていった。
「蹴られて笑うとか、とうとう頭おかしくなったか?」
「二人共大好きだなーって思って!」
そう言って、手を繋ぐ二人の間に入って、二人の肩を抱いた。
「うぜー!くっつくな!」
「ちょっと離れてよ!」
「二人とも照れない、照れない!」
最初は俺と岩ちゃんずっと二人でバレーが出来たらいいのに、そう思ってたのに、いつからかそれにマッキーとまっつんが加わって、青葉城西で、って思うようになって、邪険に思っていた莉緒ちゃんのこともいつからか、俺のバレーっていう枠の中に入っていた。