第2章 彼女の素顔
花火も終わり、帰る前に岩ちゃんとまっつんはトイレに、マッキーは最後にクレープ買ってくって行って、クレープを買いに行き、莉緒ちゃんと二人きり。
「及川、ごめんね。」
「え?」
「私がはぐれたせいで一君に怒られたじゃん。」
「いや、あれはちゃんと見てなかった俺らが悪いから。」
珍しくしおらしい莉緒ちゃん。俺は別に岩ちゃんに怒られ慣れてるから別にいいんだけど、
「それにしてもあそこまで怒る岩ちゃんは久しぶりに見たなー。あ!別に莉緒ちゃんを責めてる訳じゃないからね!」
岩ちゃんが怒るのはいつものことだし、怒られ慣れてるのも事実だけど、マジギレ岩ちゃんは本当に久しぶりに見た。
「あー…えっと、まあはぐれた時ナンパされてたんだけど、なんか質が悪い人達でさ、連れて行かれそうになって、人気の少なそうな林の方に。周りは見て見ぬふりだったし。」
「…ごめん、そんな危ない目に合ってたなんて、」
「はぐれたのは本当に私のせいだし、及川達は悪くない。一君が助けてくれたから、結局何も無かったんだし、大会控えてるのに喧嘩沙汰にならなくて本当良かった。」
もし岩ちゃんが莉緒ちゃんを見つけてなかったら、なんて思うとゾッとした。岩ちゃんがあれだけ怒るって事は、本当に危なかったんだと思う。莉緒ちゃんだって、怖かっただろうに。なのに、莉緒ちゃんは自分の事より、俺達やバレーの心配ばかり。
「及川?」
心配そうに俺の顔をのぞき込む莉緒ちゃん。思わず、莉緒ちゃんの事を抱きしめてしまいそうになった。自分でもどうしてそんな衝動に駆られたのかよく分からない。けど、抱きしめようと手を伸ばした所にマッキーがクレープを持って帰ってきた。
「何やってんのお前ら?」