第2章 彼女の素顔
「及川!」
「岩ちゃん!」
人混みをかき分け、俺の方へ歩いてくる岩ちゃん。と、その隣に莉緒ちゃんの姿。
「あ、莉緒ちゃん!良かった!探したんだよ!」
莉緒ちゃんの姿を見て、安心した。莉緒ちゃんはしっかりと岩ちゃんに手を握られていて、それを見てなんだかモヤっとした。俺とは繋がなかったのに、なんで岩ちゃんと、なんて思ってたら岩ちゃんに頭を叩かれた。
「クソ川!莉緒一人にすんなっつったろーが!」
「ごめんなさい。」
「大丈夫つったから、それを信じて莉緒はお前らとお祭り来たんだろーが!裏切るような真似すんな!」
「一君、はぐれちゃったの私のせいだから。」
珍しく本気で怒る岩ちゃんを申し訳なさそうに宥める莉緒ちゃん。岩ちゃんからの怒り方から察すに、多分ナンパされてたんだと思う。
「お祭り来るの子供の時以来で、つい色々目移りしちゃって、はぐれちゃってごめんなさい。」
「ったく!気を付けろよな!」
「で、岩ちゃんいつまで手繋いでるの?」
「またはぐれたらいけねーから、今日はずっとこのまんまだアホ川!お前らがちゃんと手繋いでればこんな事になんなかったろーが!」
怒りが収まらない岩ちゃんを莉緒ちゃんが、宥め、その後マッキーとまっつんと合流した。二人と合流した後も、岩ちゃんは莉緒ちゃんの手をしっかりと握っていて、それを見てなんだかモヤモヤが収まらなかった。