第23章 【番外編】親愛なる四人へ(松川一静)
「及川ってあんなんだけど、莉緒ちゃんの事、ちゃんと大事に思ってたよ。」
「…でも、及川は、私の事、友達だなんて思った事無いって。」
「ごめんね。」
「なんで松川が謝るの?」
「俺がこんな事言うのはおかしいかもしれないけど、アイツの事許してやってくんないかな?」
「…無理だよ。」
まあ、そりゃあそうだよね。莉緒ちゃんはずっと及川の事を気の許せる友人だと思ってたのに、それを否定された挙句、無理矢理キスされて、それを岩泉に見られ、誤解されたワケだし。
「及川はさ、好きでも無いような子にキスするような奴じゃないよ。及川は何時だって、莉緒ちゃんの事を考えてたし、莉緒ちゃんの為に色々やって来た。莉緒ちゃんだって、及川が悪意を持ってずっと莉緒ちゃんに優しくしてたって思って無かったでしょ?それに、今もそう思ってるよね?」
「けど…!」
「こうは考えた事無かった?及川が莉緒ちゃんの事を好きだって。それは友人としてじゃなく、莉緒ちゃんが岩泉に対する気持ちと同じ感情を抱いてた、って。」
そう言うと、莉緒ちゃんは驚いたような顔をした。その反応から、あんなにあからさまに好意を寄せている及川の気持ちに全く気付いていなかったんだと悟った。