第2章 彼女の素顔
「「及川(さん)お誕生日おめでとう(ございます)!」」
体育館のドアを開けると、部員達がクラッカーを鳴らして出迎えてくれた。まさか皆が俺の誕生日祝ってくれるとは思ってなくて、本当にビックリして言葉が出なかった。
「皆準備時間かかりすぎ。」
「莉緒ちゃん時間稼ぎありがとね。」
「え?時間稼ぎ?」
あの校舎内うろうろしてなかなか体育館に向かわなかったのはそういうことだったのか!って、じゃあ、何?時間稼ぐ為にあんな可愛い事言ってたって事!?
「もう二度とこんな役受けないから。」
「でも、お陰でいい動画が取れました。」
そう言って俺達より遅れて国見ちゃんが体育館に入ってきた。
「橋口さんにドキドキする及川さん動画です。」
「何それ、題名聞いただけでワクワクする。国見今すぐ再生して。」
「あ、ちょ、ま、やめてー!」
国見ちゃんが撮った動画を見て大爆笑するマッキーとまっつん。だって、だって、仕方ないじゃん!莉緒ちゃん顔は可愛いし、男だったら仕方ないでしょ!
「あとでグループLINEに送っときます。」
「国見ちゃん、やめてください、お願いします。」
そんなことをいいながら全員で大きなホールケーキにフォークを刺して、そのまま皆でケーキを食べた。
「及川さん、これ一年からです。」
「これは二年からです。」
そう言ってプレゼントまで。及川さん感動して泣いちゃうよ。
「これは俺達三年から。」
そう言って岩ちゃんから渡されたのは一枚の紙切れ。
〝 いつでも練習に付き合ってやる券〟
「皆、大好き!ありがとう!」
「うわ!くっつくなうぜー!」
プレゼントを渡してくれた、金田一、渡っちを思いっきり抱きしめた。岩ちゃんを抱きしめようとしたら足蹴にされたから、可愛い後輩を強く強く抱きしめた。
「及川、これは私から。」
まさか、莉緒ちゃんからプレゼントをもらえるなんて。
「開けてみて。てか、今着てみて。」
プレゼントを開けると、中身はTシャツで、着てほしいと言われたからろくにプリントも見ずに、制服の上着を脱いで、その場でもらったプレゼントに着替えた。すると全員大爆笑。プリントされた文字を見てみると、〝自意識過剰 〟。