第21章 【番外編】恋に落ちる(国見英)
約束の月曜日。HRが終わり、そのまま三年の教室へ。教室を覗くと楽しそうに岩泉さんと話す橋口さん。俺の姿に先に気付いたのは岩泉さん。
「国見、悪いな。頼む。」
「はあ。」
岩泉さんに見送られ学校を出た。すれ違う人全員が橋口さんを見て振り返る。まあ、確かに可愛いとは思うけど、それ以上の感情は何もわかない。本人はすれ違う人達の視線に気付いてないのか、それとも気にしてないのか、楽しみだねと笑顔で俺に話し掛ける。そう言って笑う橋口さん、可愛いとは思う。でもそれだけで、それ以上の感情が湧く事は無かった。
駅前に新しく出来たスイーツバイキング、平日の夕方だというのに、思いの外混雑していた。ボードに名前を書き、名前が呼ばれるのを椅子に腰掛け待った。橋口さんと部活中、あまり離す事はなかったし、彼女の性格上、部活中にバレーに関すること以外話さない事もあって、俺と似てあまり話す方ではないのかもしれないと思っていたが、彼女は会話が途切れないよう、話し続けた。それが目の前にあるスイーツを楽しみにしてるせいなのか、俺に気を遣ってるからは分からなかった。彼女の他愛もない話に適当に相槌をうちながら過ごした。
「二名様でお待ちの国見様。」
名前を呼ばれ、席へと案内され、早速お目当てであった塩キャラメルロールをお皿に取った。他にも塩キャラメルを使ったお菓子が並んでおり、俺はそれらを皿に置いて席に戻った。