第2章 彼女の素顔
七月二十日終業式。ファンの女の子達や、クラスメイトから誕生日プレゼントをたくさんもらい、それを抱えて部活へ向かう途中、珍しく一人で部活へ向かう莉緒ちゃんに会った。
「あ、莉緒ちゃーん!」
俺が声を掛けると明らかに嫌そうな顔。
「何それ。」
「俺、今日誕生日だからさ。」
「ふーん、おめでとう。」
「ありがとう。」
てっきりスルーされるかと思った。
「莉緒ちゃんから愛する主将にプレゼントはないのかな?」
「え、キモい。」
「キモいって何!?」
「気持ち悪い。」
「いや、言い直さなくていいから!って、莉緒ちゃん体育館そっちじゃないよ!」
「職員室に日誌出してから行く。」
「じゃあ俺先行っとくよ。」
「待って。」
莉緒ちゃんに服を掴まれた。
「何?どうしたの?」
「…一人で行かないでよ。」
え?この可愛い子誰?上目遣いでそんな風にお願いされたら、断れないじゃん。てか、え?何?
「莉緒ちゃん頭打った?」
そう言うと莉緒ちゃんに足を蹴られた。まあ、あんなに可愛く頼まれたら断れる訳もなく、莉緒ちゃんと職員室に向かった。職員室の外で莉緒ちゃんを待ってる間もプレゼントが増える増える。
「…なんかさっきより増えてない?」
莉緒ちゃんの声がするけど、積み上げられたプレゼントで前が見えない。
「莉緒ちゃん待ってる間になんかどんどん増えちゃって。」
「先生から紙袋もらってきたから、これに入れて。」
「莉緒ちゃん、今日優しいけど大丈夫!?」
「いらないなら返してくる。」
「あー!いるいる!莉緒ちゃんありがとう!」
プレゼントを全部紙袋に詰め、今度こそ体育館に行こうとしたら、莉緒ちゃんが忘れ物をしたと言って教室に戻ることに。
先に体育館に行こうとしたけど、やっぱり引き止められて、また莉緒ちゃんについていくことに。