第19章 そして俺達は、
携帯を目にしながら、俺は目的地へと足を早めた。そして目的地が見えてきて、そこにいる筈の彼女の姿を探したが見当たらなかった。が、その待ち合わせ場所である場所にいる二人の男達を見て、彼女の姿が見えなかった事に納得し溜息をついた。
「彼女に何か用?」
振り返る男達の真ん中には、待ち合わせ相手である彼女の姿。
「及川、遅い。」
ムスッとした表情の彼女の手を引き、莉緒ちゃんをナンパしていた奴らから引き離す。
「岩ちゃん何時に着くって?」
「十一時四十分。」
青城を卒業し、早いものでもう三ヶ月が経つ。まっつんと矢巾の誕生日、俺のアシストもあり付き合うことになった莉緒ちゃんと岩ちゃん。二度と彼女の隣に立つことは許されない。そう思っていたのに、まっつんの計らいもあって、俺は莉緒ちゃんに許された。そして高校を卒業し、俺と莉緒ちゃんは上京。そして今、学部は違うが同じ大学に通っている。
岩ちゃんとまっつんは四宮さんと同じ大学へ。四宮さんはバレーサークルのマネージャーということで、嫌でも四宮さんと関わらないといけない岩ちゃんは、しょっちゅう衝突してるらしいとまっつんから聞いた。
マッキーも岩ちゃんとまっつんとは違うが、地元の大学へと進学した。
そして今日、上京して初めて岩ちゃんが東京に遊びに来ることになっている。
「ああもう!及川が遅刻なんかするから、時間ないじゃん!」
「だって、女の子達に捕まっちゃってさ、」
「東京の女の子達もほんっと、見る目ないよね。」
「莉緒ちゃん酷いよ!及川さんカッコいいでしょ?ドキッとしちゃうでしょ?」
「ウザい及川。ほら、走るよ!」
「あ、待ってよ莉緒ちゃん!」
大好きだった莉緒ちゃん。完全に気持ちが吹っ切れたとは言い切れないけれど、こうして彼女の傍にいるだけで幸せだった。
これからも大好きな二人を一番近くで見守っていく事。それが俺の出したこの恋の結論だった。