第18章 大好きな君に伝えたいことがあるんだ(岩泉視点)
先程の件もあり、戻りずらくはあったが、莉緒と共に体育館へ戻った。おかえり、なんて言って、俺に殴られた頬が腫れた及川は笑顔で俺達を迎えた。
「…及川、あのね、私、」
「ごめんね、莉緒ちゃん。莉緒ちゃんに酷い事した。謝っても許されない事だって分かってる。」
「松川がね、及川の事許して欲しいって言ったの。及川は私を傷付けるような奴じゃないって。」
そう言われた及川は驚いた顔で松川の方を見た。
「…及川の気持ちに気付けなくてごめんなさい。」
「ちょっと待って…まっつん!莉緒ちゃんに何言ったのさ!?」
「何だったかなー?忘れた。」
「ああもう…!」
「及川、俺の事は気にすんな。ちゃんと言え。」
及川だって、沢山悩んだ末に取った行動だってのは俺もさっきので充分分かった。だから今度は俺がお前の背中を押す番だ。
「莉緒ちゃん、俺もね、ずっと莉緒ちゃんの事が好きだったよ。」
「…うん。」
「でもね、俺にとっては岩ちゃんも大切な存在で、どちらか一方なんて選べなかった。莉緒ちゃんの事を応援するって気持ちにも嘘は無かったんだ。でも、あの時、自分の気持ちを抑えられなかった。あの時、莉緒ちゃんの事友達だとも親友だとも思った事はないって言ったけど、今なら自信を持って言えるよ。莉緒ちゃんは俺にとって大切でかけがえのない存在で、もう一人の相棒だ。」
「…これからも、そう、思ってくれる?」
「勿論だよ!…莉緒ちゃんがそれを許してくれるなら。」
莉緒は及川の顔に手を伸ばし、及川の両頬を抓って涙を浮かべながら笑った。
「もうそんな顔しないでよ。…これからも宜しくね、及川。」