第17章 大好きな君に伝えたい事があるんだ
「ちょ…っ!岩泉さん!オイ!京谷!」
ごめん、矢巾、誕生日なのにこんな事に巻き込んで。
俺と岩ちゃんを引き離そうと、矢巾と狂犬ちゃんが岩ちゃんの腕を掴むが、怒った岩ちゃんは二人がかりでも止められなかった。
「花巻さん!見てないで手伝って下さいよ!金田一!」
ちょっとビックリするイベントがあると思うけど、マッキーは手を出さないでね。前もって伝えていたそれを理解したのか、矢巾に名前を呼ばれてもマッキーは動かなかった。金田一が加わり、三人がかりで岩ちゃんを抑えた。
「俺、莉緒ちゃんに親友だって言われた。でも、俺は莉緒ちゃんの事、友達だとも、親友だとも思ってないって言った。」
「及川!」
三人を振りほどき、岩ちゃんは再び俺を殴った。
「ねえ岩ちゃん!岩ちゃんが莉緒ちゃんの事でそんなに怒るのはなんで?岩ちゃんが莉緒ちゃんの事好きだからだよね!?」
「ちげえよ!お前の軽はずみなそういう行動がクソムカつくだけだ!」
ほら、やっぱり岩ちゃんは莉緒ちゃんが俺の事を好きだって思ってる。こんなクソみたいな奴相手にそんな気遣わなくていいんだよ。自分の気持ちに素直になってよ。
「何年岩ちゃんの相棒やってると思ってんの!?それで隠してるつもり!?バレバレなんだよ!」
そう言って俺は岩ちゃんを殴った。岩ちゃんに殴られる事はしょっちゅうだったけど、俺が岩ちゃんを殴ったのは初めての事だった。呆気に取られた岩ちゃんの胸倉を今度は俺が掴んだ。
「俺じゃダメなんだ!莉緒ちゃんの傍に必要なのは、岩ちゃんなんだよ!自分の気持ちに素直になってよ!」
「…っ!嗚呼、好きだよ!俺は莉緒が好きだ!けど、莉緒は────っ!」
「だってよ、莉緒ちゃん。」
優しい声が体育館に響いた。体育館の入口には本日のもう一人の主役のまっつんと、莉緒ちゃん。…流石、まっつん。タイミングバッチリじゃん。