第17章 大好きな君に伝えたい事があるんだ
三月一日、まっつんと矢巾の誕生日。矢巾の誕生日を祝うから放課後体育館に集合とまっつんから莉緒ちゃんと岩ちゃんに連絡してもらった。そして、莉緒ちゃんのお迎えをまっつんに頼んだ。誕生日であるまっつんにお願いするのどうかと思ったけど、まっつんを頼るしかなかった。
そして放課後、体育館に行くと、岩ちゃんとマッキーは既に来ていた。まっつんに集合時間をズラして伝えるようお願いしていた為、莉緒ちゃんとまっつんが来るのはもう少し先。
「なんだお前一人か?」
「うん。」
「莉緒と一緒に来るもんだと思って。」
「まっつんは誕生日だから最後に莉緒ちゃんとデートしたいんだって。だから遅れてくるよ。」
「…彼女を他の男に貸すなんてどうかと思うぞ。」
嗚呼、ほらやっぱりそうだ。四宮さんが言ってた通り。
『莉緒の性格からして、岩泉を追い掛けて、そこで本当の事を言ったとは思えない。どうせ莉緒の事だから、アンタ達二人の関係を壊したくないと思って何も言わなかった筈よ。』
あんなに莉緒ちゃんを傷付けたのに、本当、莉緒ちゃんは優しい子だよ。
「何言ってんの岩ちゃん?俺と莉緒ちゃん付き合ってないよ?」
「は!?お前ら、じゃあなんで教室で───、」
後輩達がいる中、それを口にするのはどうかと思ったのか、岩ちゃんはその言葉の続きを言わなかった。
「嗚呼、あれ?莉緒ちゃんが可愛かったからつい、無理矢理キスしちゃった。」
「…っ!及川お前!」
いつもの調子でそう言った俺に、岩ちゃんがブチ切れた。俺の名前を呼んだとほぼ同時に、岩ちゃんに思いっきり殴られた。その拍子で俺は後ろへ倒れた。そして倒れた俺の胸倉を掴んだ岩ちゃん。
「お前、自分が何したか分かってんのか!?」