第17章 大好きな君に伝えたい事があるんだ
「及川。」
名前を呼ばれ、顔を上げた。そこに居たのは四宮さんだった。
「四宮さん、久しぶ──」
俺の言葉は四宮さんに殴られ遮られた。勢いよく殴られた俺は椅子から転げ落ちた。今まで女の子に叩かれる事はあったけど、殴られたのは初めてだった。岩ちゃんと同じ位とは言わないけど、岩ちゃんの次に痛い。こんな華奢な体の何処にそんな力があるのかと驚いた。
「及川、殴らせろ。」
「いや、え?もう殴ったよね!?」
その場に尻餅をついて倒れる俺を見つめる四宮さんは冷ややかだった。突然の出来事に店内の視線を一斉に集めた。
「とりあえず出ようか。」
まっつんにそう促されると、四宮さんはそれに同意し、訳も分からぬまままま、そのまま近くの公園へと向かった。そして公園について早々、再び四宮さんに殴られた。
「アンタの味方だとは言ったけど、莉緒を傷付けていいなんて私は言ってない!」
そう言われ、まっつんがさっき俺の携帯から四宮さんに電話を掛けたのだと理解した。
「岩泉よりも及川の方が莉緒に合ってると思ってたけど、私の勘違いだったみたいね。莉緒はアンタの事、心の底から信頼してた!それを裏切るなんて最低よ!二度と莉緒に近付くな!」
過去に酷く莉緒ちゃんを傷付けた四宮さんの言葉はずっしりと俺の心に響いた。
「…って言いたいところだけど…莉緒にはアンタが必要なのよ。莉緒の気持ちを誰よりも理解してくれるアンタが。莉緒が岩泉を好きだっていいじゃない!それが及川が莉緒を好きな事とは関係ないでしょ!?私達に逃げるなって言ったアンタが逃げてどうすんのよ!好きならちゃんと好きって言えボケ!」