第14章 恋心の行方
「私ね、及川の事嫌いだった。」
「ちょ、今このタイミングでそれ言うかな!?」
まあ、俺も最初は莉緒ちゃんの事嫌いだった。俺の隠してた劣等感やライバル意識をいとも簡単に見抜いてしまうし、相棒を取られるとも思った。俺らのバレーを邪魔する存在になると思っていた。でも、いつも真っ直ぐで、ひたむきで、負けず嫌いな莉緒ちゃんをいつの間にか好きになっていた。
「…でもね、今は違うよ。私、及川と友達になれて良かった。一番の親友だって思ってる。…私、及川の事好きだよ。」
その言葉に、堪えていた感情が一気に溢れ出した。俺は莉緒ちゃんの友達じゃなくて、莉緒ちゃんの彼氏になりたかったんだよ。俺は────
「…俺は莉緒ちゃんの事、友達だとも、親友だとも思ったことは無いよ。」
俺にとっての君は、そんな言葉で片付けられるような存在じゃない。────好きなんだ。
それは、自分でも制御が効かない衝動だった。莉緒ちゃんの手を引き、その唇に俺はキスをした。