第14章 恋心の行方
センター試験が終わり、自宅学習期間へと入った。そして、五人で自動車学校に通った。時間が空いた時はバレー部に顔を出したりした。すっかり主将が板についてきた矢巾。相変わらず矢巾と気が合わない副主将狂犬ちゃん。喧嘩する二人を止めに入る係は勿論渡っち。国見ちゃんは相変わらず気だるそうで、そんな国見ちゃんとは真逆で練習に人一倍励む金田一。そんな後輩達を見て、これからの青城が楽しみで仕方なかった。
そして、登校日。たった数週間会わなかっただけなのに、クラスメイトと会うのが、凄く久しぶりに思えた。このクラスで過ごすのも、今日、そして卒業式の予行練習、卒業式の三日間のみ。あ、矢巾とまっつんの誕生日のお祝いもしないとね。マッキーの誕生日は五人でカラオケ行ったけど、二人の誕生日は矢巾は普通に学校あるし、部活に顔出して、そこでそのままお祝いするかな。なんて思いながらぼんやりと一日を過ごした。
登校日、授業は午前だけ。HRも終わり、莉緒ちゃんと岩ちゃんを迎えに五組へ向かった。
「あれ?岩ちゃんは?」
教室にいたのは莉緒ちゃん一人。他の人達も帰ったようだった。
「一君日直だったから、今職員室に日誌出しに行ってる。」
莉緒ちゃんは窓の外の景色を眺めながらそう言った。その表情は何処か悲しげだった。
「…あっという間だったな。」
「そうだね。」
「もっと皆と一緒に居たかったって思うよ。一年生の時から青城に通ってたら…なんて考えちゃう。」
「うん。」
「…及川、あのね。私、卒業式の日に一君に好きだって伝えようと思う。」
「…そっか。」
最近の二人は、莉緒ちゃんが引っ越してきた時みたいな雰囲気で、恋人同士みたいだった。大好きな二人が付き合ってくれたら嬉しいと思う気持ちと、応援しようと決めたのにまだ莉緒ちゃんを諦められずにいる自分がいた。