第14章 恋心の行方
三学期に入り、岩ちゃんが冬休みの間で沙耶香ちゃんと別れた事を知った。それを知ったのは莉緒ちゃんと帰ろうと莉緒ちゃんを迎えに五組へ行った時、俺も今日から一緒に帰ると言った岩ちゃんの一言がキッカケだった。
「え?沙耶香ちゃんは?」
「…別れた。」
沙耶香ちゃんの存在があったから、莉緒ちゃんは自分の気持ちを押し殺していた。けど、二人が別れた今、その必要が無くなった。だから、その言葉を聞いて、莉緒ちゃんは喜んでると思った。けど、それを聞いた莉緒ちゃんは何処か悲しそうな表情だった。…嗚呼、そうだ。莉緒ちゃんは人の不幸を喜ぶような子じゃない。そして沙耶香ちゃんの存在があったからこそ莉緒ちゃんの傍にいれた俺はもう用済み。莉緒ちゃんの事が好きだ。でも、それと同じ位岩ちゃんの事も好きだ。だから、素直に二人を応援しようと思った。まあ、岩ちゃんが莉緒ちゃんを好きかどうか分からないけど。でも、そんなのはきっと時間の問題だ。
そして迎えた一月十四日。センター試験当日。春高バレー準決勝。心の中で皆にエールを送りながら春高バレーのテレビ中継を見ていた。テレビに映る飛雄は相変わらずの天才っぷりで、それを見て無性に腹が立った。試合は縺れに縺れ、フルセットでの試合。そして、勝ったのは烏野。全国大会二度目の出場にして、決勝へと上り詰めた。
翌日、センター試験二日目、春高バレー決勝戦。惜しくも烏野は破れ、準優勝に終わった。
月曜日、センター試験を終えた皆の元へと向かった。マッキー、まっつんの表情から察するに、問題なさそうだった。そして、一番の問題児である莉緒ちゃん。どう声を掛けるべきか悩み、声を掛けるのを戸惑っていると、莉緒ちゃんの方から声を掛けてきた。
「及川!多分、大丈夫だったと思う!」
その表情は明るく、いつも通りの笑顔で、それを見て安心した。岩ちゃんも同じく問題なかったようで安心した。
温田っち、志戸、沢内も手応えありとの事で、漸く緊張感から解放された。