第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
「いつまでそうやって自分の気持ちに嘘をついてんだよ!?俺らのエースはいつからそんなビビりになった?立石ちゃんと別れたのだって、どうせ莉緒ちゃんの事が頭から離れなかったからだろ!?違うか!?男なら男らしく、自分の気持ちちゃっちゃと認めろよ!」
花巻のその言葉に思わず笑いが漏れた。
「…何笑ってんだよ?」
「…いや、花巻お前、スゲーな。」
そうだ、莉緒の傍にいれることが嬉しいと思うのも、莉緒が俺以外の奴と仲良くするのに複雑な気持ちを抱くのも、あの日莉緒を抱き締めたのも、全部、莉緒が好きだったからじゃねえか。自分の気持ちに気付かないなんて、本当馬鹿だな、俺。
「…サンキュー、花巻。」
そうだ、俺はずっと前から莉緒が好きだった。
「──ったく、こんな事俺に言わせんなっての。」
「悪かったな。」
「分かってくれたんならいい。ちゃんと気持ち伝えろよ。」
「嗚呼。」
自分だって莉緒の事が好きなのに、俺の背中を押してくれた花巻を見て、いいダチを持ったと、心の底から思った。
「花巻カッケーな。」
「そうだよ、俺はカッコいいんだ。今頃気付いたか。」