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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


「岩泉、ちょっといいか?」


 昼休み、俺を尋ねてきたのは及川ではなく、花巻だった。ここじゃあ、ちょっと、なんて言って連れていかれた視聴覚室。


「なんだよ花巻。」
「俺、先月莉緒ちゃんに告った。」
「はあ!?」


 てっきり莉緒は及川と付き合ってる、若しくは及川といい感じだと思っていたのに、まさか花巻が相手だったとは。つーか、花巻が莉緒を好きだったなんて初耳だ。まあ、思い返してみれば、皆で出掛ける時に莉緒に声を掛けてたのは花巻だったし、莉緒の事を可愛いとも言っていたが。


「まあ、振られたけどな。」
「…そうか。」


 〝振られた〟

 その言葉を聞いて、花巻には悪いが安心してしまった。


「莉緒ちゃんが期末の後、一人で勉強するっつったろ?多分あれ、俺に気を遣ってだから。」


 それを聞いて、あのやり取りの意味を理解した。


「でさ、岩泉。お前莉緒ちゃんの事好きだろ?」
「ンな訳…!」


 俺が莉緒を好き!?いや、確かに大切な存在ではあるが、そういうのは多分違う。


「莉緒ちゃんがつけてるネックレス、岩泉がプレゼントしたやつだろ?立石ちゃんのクリスマスプレゼント買った時に一緒に買ってんの見た。」
「いや、まあ、俺が贈ったもんだけど、それに特に意味はねえよ。」
「岩泉、立石ちゃんには何プレゼントしたらいいか分かんねえって言ってたけど、莉緒ちゃんのプレゼントはしっかりちゃんと自分で選んでんじゃん。」
「…それは莉緒との付き合いが長いってだけで、」
「正直さ、俺だってまだ引きずってんのよ、莉緒ちゃんの事。」


 そう言った花巻が一歩俺に近付き、俺の胸倉を掴んだ。


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