第2章 彼女の素顔
気が付くと、八時をまわっていて、周りもすっかり暗くなっていた。明日も学校だし、今日は解散ってことで、ファミレスを出た。
「あれ?」
「どうした?」
「携帯忘れてきたかも。先行ってて。」
「おい、莉緒!」
莉緒ちゃんはそう言って、さっき来た道を走って戻って行った。ファミレス出てすぐだったし、別について行かなくても大丈夫だろうって事で、その場で待機って事になったけど、ファミレスはすぐそこなのに、莉緒ちゃんはなかなか戻って来ない。
「俺、見てくるわ。」
そう言って岩ちゃんもファミレスの方へ走って行った。
暫くすると怒った顔の岩ちゃんに手をひかれ、莉緒ちゃんが戻ってきた。
「岩泉、何怒ってんの?」
「ファミレスに戻ったら携帯席になくって、そしたら知らない男の人達が私の携帯持ってて、なかなか返してくれなくて。」
ムスッとした顔でそう話す莉緒ちゃん。嗚呼、この短い時間の間にナンパされてた訳ね。さしずめ、連絡先教えてくれないと携帯返さないとかそんな事言われてたんだろう。そんでそこに岩ちゃんが来て、携帯が返ってきたって所か。まあ、ナンパヤローの気持ちもわかるけどね。とびっきりの美少女が携帯忘れて行ったら、取りに戻って来るのを期待して携帯を取っちゃうよね。それで戻って来たところ話し掛ければ連絡先手に入る、みたいな。
「だからいつも言ってんだろ!一人で行動すんなって!」
「…ごめんなさい。」
「まあまあ、岩泉もそんな怒んなって。悪いのはそのナンパしてきた奴であって、莉緒ちゃんじゃないんだからさ。」
「で、二人はいつまで手、繋いでんの?」
「あ、わりぃ!」
マッキーに突っ込まれ、岩ちゃんは莉緒ちゃんの手を離した。
「ファミレスで勉強はなしだな。見られすぎてて集中出来ねーわ。」
まあ、確かに、勉強中痛いくらい男達の視線を浴びた。女の子から見られるのは全然いいけど、男達から熱い視線送られると気持ち悪い。まあ、俺達を見てる訳じゃないけどさ。