第2章 彼女の素顔
「あの、青葉城西の及川さんですよね。」
声を掛けられ、振り返ると女の子二人組。
「そうだよー。」
「あの、いつも試合見に行ってます!」
「そうなんだ、ありがとう。」
笑ってみせると、女の子達は顔を赤くして、嬉しそうな表情。
「あの、LINE交換してもらえませんか?」
そう言って携帯を取り出す二人。
「徹、どうしたの?」
突然腕を組まれ、ビックリして手を組まれた方を見ると、莉緒ちゃん。え?俺、莉緒ちゃんに腕組まれてる?ピッタリと俺の腕に体を寄せる莉緒ちゃん。
「えっと、徹のお友達?」
いつも俺に対する口調とは違う、優しく女の子らしい話し方。話し掛けてきた女の子二人組は、莉緒ちゃんの姿を見ると、その容姿に圧倒されたのか、いえ、何でもないですと言って席に戻っていった。彼女たちが席に戻るのを確認した莉緒ちゃんは、俺の手を離し、さっき俺に頼んだ抹茶ラテを自分で入れ始めた。
「え?莉緒ちゃん、今、」
「あの子達見る目ないね。アンタなんかより、一君の方がカッコイイのに。」
そう言って、自分の抹茶ラテと岩ちゃんが頼んだ烏龍茶を持って席に戻っていった。
もしかして、ナンパされてると思って助けに、って言い方はおかしいけど、助けにきてくれた?てか、今、名前で呼んでたし。
「莉緒ちゃん、もっかい言って、徹って!」
「及川うるせー!」
そう言いながら席に戻ると岩ちゃんに怒られた。