第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
ベッドに転がり、帰りに買ってきたバレー雑誌を読んでいると、部屋のドアがノックされた。
「一君、入ってもいい?」
「嗚呼。」
扉を開け、莉緒が部屋に入ってきた。ベッドから体を起こした。
「あのね、迷惑かな…って思ったんだけど、これ、もし良かったら。いつも勉強見てもらってるお礼。」
そう言って渡されたプレゼント。まさか莉緒からプレゼントを貰えるなんて思ってもいなくて、正直驚いたが、それ以上に嬉しかった。莉緒にお礼を言い、俺も先日買ったプレゼントを引き出しから取り出し、莉緒に渡した。それに莉緒は驚いた様子だった。
「俺も莉緒には沢山世話になったし、…大したもんじゃねえけど。」
「開けてもいい?」
「嗚呼。」
莉緒は俺の渡したプレゼントの封を開けた。そして出てきたジュエリーボックスを開き、ネックレスを手に取った。
「…可愛い。これ、一君が選んでくれたの?」
「莉緒に似合うと思ったんだけど。」
「嬉しい…。ありがとう、大切にするね。」
そう言って俺のプレゼントを見つめる莉緒の姿が立石と重なった。
「貸してみろ。つけてる所見てえし。」
「うん。」
莉緒に渡されたネックレスを莉緒の首につけた。
「…どうかな?」
俺が思った通り、そのネックレスは莉緒に凄く似合ってた。俺がプレゼントしたネックレスを見て嬉しそうに微笑む莉緒。柄にもなく、似合ってると口にすれば、莉緒は照れくさそうに笑った。そんな莉緒を見て、反射的に手を伸ばし、莉緒を抱き締めた。
「はじ、めく、ん?」
突然の俺の行動に莉緒は戸惑ったようだった。が、それは俺も同じ。どうして莉緒を抱き締めたのか自分でも分からなかった。
「…バレー、諦めさせたりなんかして悪かった…。全国に連れてってやれなくてごめんな。」
「…ううん。一君と、青城の皆と同じチームで一緒に全国を目指す事が出来た。それだけで充分だよ。」