第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
「…俺なんかの何処がいいんだ?」
自分でも小っ恥ずかしい事を聞いているという自覚はあった。が、その答えを聞かないと、俺はちゃんと立石と向き合っていけないと思った。
「友達が及川さんのファンで、よく試合一緒に見に行ってたんです。そこで初めて岩泉さんの存在を知りました。凄くキラキラ輝いてて、カッコいいなって思ったんです。でも、それは芸能人がカッコいいとかいう、そういった類のものだったんです。それからたまたま岩泉さんがおばあちゃんの荷物を持って歩道橋を歩いている姿だとか、喧嘩した子供達の仲裁に入ってる姿とか、そういうのを見掛けて、当たり前のように誰かに手を差し伸べる姿を見て…岩泉さんの事、好きになりました。そういうのって、やった方がいいと分かっていても簡単に出来る事じゃないと思うんです。」
「…そっか。」
自分で聞いておきながら、立石のその答えに少し恥ずかしくなって、顔を逸らした。
「岩泉さん、あの、これ。」
そう言って綺麗に包装されたプレゼントを渡された。それをお礼を言って受け取った。そして俺も花巻と買いに行ったプレゼントを渡した。
「開けてみてくんねえ?気に入るか分かんねえから、気に入らなかったら何か代わりのモン買う。」
立石は俺のあげたプレゼントを開け、取り出したストールを見てそれを抱き締めた。
「…嬉しいです。ありがとうございます。」
そう言って優しい笑みを浮かべる立石に俺はキスをした。唇が離れると、立石は涙を流した。
「…悪い。嫌だったよな。」
「ごめんなさい…嬉しくって、」
そう言って目を擦る立石を愛しいと思った。