第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
十二月二十三日、立石へのクリスマスプレゼントを買おうと思い、花巻を誘った。こういうのは初めてで何買ったら立石が喜ぶのか分かんねえし。まあ、及川と来ても良かったんだが、アイツ誘うと五月蝿いし。となれば、花巻か松川。そんで予定がなかった花巻と、可愛らしい女の子向けの雑貨が並んだ店に来た訳だが、何選んでいいのかサッパリ分かんねえ。花巻にアドバイスを求めるも、岩泉のやるもんだったら何でも喜ぶだろ?そう言われ、さっきから綺麗に陳列された雑貨達と睨めっこ状態。
「岩泉、早く決めろよー。俺ら浮きまくってるから。」
身長180近い男二人がその店にいるのは確かに目立っていた。俺だってこんな店恥ずかしいっての。早く店を出たいのは花巻と一緒だったが、何買っていいか分かんねえし、早く出てえなら的確なアドバイスを寄越せ。
「もうこれでよくね?」
さっきまでどれでもいいと言っていた花巻は痺れを切らしたのか、目の前の陳列棚からストールを手に取った。
「女の子こういうの好きだろ。マフラーよりも使い方色々あるし、いいんじゃねえの?」
「じゃあそれにするわ。」
「は?俺が決めたのでいいの?」
「しゃーねーだろ。分かんねえもんはいくら考えても分かんねえんだし。」
花巻に勧められたタータンチェック柄のストールを手にし、レジへと向かった。そして、レジに向かう途中、蝶のネックレスが目に付いた。ハートが二つ重なったようなデザインの蝶。それを見て、これ莉緒似合いそうだな、なんて思い、それを手に取った。バレーをする莉緒は蝶のようにコートを飛び回り、キラキラ輝いた表情でボールを追い掛ける莉緒のバレーが好きだった。自分が選手としてコートに立つことを辞め、俺らに夢を託した莉緒。マネージャーとしてもよく働いてくれたし、それに俺らは助けられた。そんな感謝の気持ちを込めてプレゼントしてもおかしくねえよな?そう思い、それも一緒にレジへ持って行った。