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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 一方、立石との関係は多分、良好で、立石と居ると優しい気持ちになれたし、別に面白みのない俺の話を嬉しそうに聞いてくれる立石は可愛いと思った。告白された時と比べたら、立石に対して好感は持ててたと思うが、それが〝好き〟という気持ちかどうかは相変わらず分からないままだった。

 それから暫くして、莉緒が突然、これからは一人で勉強をすると言い出した。期末テストで前回同様赤点を取ったのに、そんな事したら本当にセンター試験ヤバいだろうって言う俺らの言葉にも、その決意は固かったらしく、一人でやるの一点張り。


「俺は莉緒ちゃんと一緒に勉強するの楽しいし、莉緒ちゃんいないのは寂しいから嫌だけど。」


 そんなくさい台詞を言ったのは及川でなく、花巻だった。


「…私、いてもいいの?」
「当たり前じゃんか。高校生活の最後をヤローばっかで過ごすのは勘弁。」


 花巻はそう言って莉緒の頭を撫でた。すると、莉緒は涙を流した。意地っ張りで負けず嫌い。泣いてる所を見られる事を何よりも嫌う莉緒が俺の目の前でなく、及川や花巻、松川のいる前で泣いた。それはつまり、莉緒がコイツらに心を開いてるということ。それはいい事で、俺が望んでいた事でもあった。俺以外に莉緒が心の底から寄り添える相手が出来る事を望んだ筈なのに、どうして俺は────、


「莉緒ちゃんは俺にとって大事な友達だよ。それは何があったって変わらない。だから──」


 花巻の言葉を遮るように莉緒は花巻の胸に飛び込んだ。


「…ごめん、花巻。私、花巻と友達になれてよかった。」


 花巻は突然の莉緒の行動に驚いたようだったが、莉緒の背中をトントンと叩いた。


「俺もだよ。」
「おい、学校ん中だぞ。目立つから離れろ。」


 莉緒が花巻に泣きながら抱き着いたのが気に入らず、無理矢理二人を引っぺがした。
 花巻の説得もあって、莉緒はこれまで通り俺らと勉強する事になった。

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