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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 それから莉緒と及川は皆で勉強しない日は一緒に帰ってった。及川のクラスが早く終われば、及川が迎えに来て、俺らのクラスが早く終われば、隣のクラスに行く莉緒。それを複雑な気持ちで見送った。それは多分娘を嫁に出す父親のような気持ちに近いものがあったのかもしれない。隣にいるのが当たり前だと思ってたのに、その当たり前は呆気なく終わりを告げた。俺の隣にいるのは莉緒じゃない。立石だ。立石をしっかり見ないといけない。分かってんのに、どうしても莉緒の事を目で追いかけてしまってた。


「莉緒ちゃん、美味しかったよ、ありがとう。」
「どういたしまして。」


 そう言って莉緒に弁当を渡す及川。は?なんで及川が?つーか、莉緒なんで及川に弁当やってんだよ。俺だって莉緒から弁当なんか貰ったことねえってのに。


「いーわちゃん!」
「うるせえ!」


 莉緒から弁当を貰えたのがよっぽど嬉しかったのか、御機嫌な様子の及川に腹が立って、取り敢えず殴った。が、及川を殴った所でこのモヤモヤが消える事はなかった。

 そして放課後、水曜日ということで勉強会のない日。昼休み同様御機嫌な様子の及川が莉緒を迎えに来た。


「また明日。」
「…ああ。」


 そう俺に声を掛けた莉緒は、及川と共に帰って行った。その二人の背中をただ黙って見送るしか出来ないのが何故か悔しくて堪らなかった。


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