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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


「じゃあそろそろ帰ろうか。」


 そう言った及川に促され外に出ると、外はもう真っ暗だった。正門で花巻、松川と別れ、久しぶりに莉緒と一緒に帰った。まあ、及川も一緒だけど。及川はいつも通り、喋ってないと死ぬのかって位どうでもいい話を延々と続ける。いつもならうるせえと一発殴るとこだが、莉緒と何を話していいかわかんねえってのもあって、うぜえけど、及川がいてくれて良かったと少し…ほんの少し思った。そして、話を聞いてれば毎週月、火、木曜日にこのメンバーで勉強会をする事になったらしい。推薦決まって勉強もする必要のないコイツが仕切ってんのは癪に触るが、まあ今日の所は目をつぶっててやるか。で、勉強会のない水曜と金曜、センター試験までの日にちを考えると莉緒には時間が足りねえ位だ。


「それなら水曜日と金曜日は一緒に帰ってウチで勉強するか?」
「い、いや!一人で帰れるよ!」
「明るいとはいえ、危ねーだろうが。」


 部活をやってた時は帰る頃には真っ暗だし、当然誰かしらが莉緒を家まで送り届けてた。いくら部活に行かず明るい時間つっても、莉緒が一人で歩けば、人の目を惹くし、声を掛けられず家に帰り着ける事はねえだろう。本当なら毎朝だって迎えに行ってやりたいくれえなのに。


「皆で勉強しない日は及川と帰るから大丈夫だよ。ね、及川いいでしょ?」
「勿論だよ。岩ちゃん、俺がちゃんと家まで送り届けるから心配しなくていいよ。」


 莉緒の口から及川と帰るなんて言葉が出てくるとは思わなかった。昔なら絶対及川と二人は嫌って言ってただろうに。まあ、二人で休みの日に出掛ける位だしな。


「…それならいい。」


 そう口にはしたが、心の何処かで納得出来てない自分がいた。


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