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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 及川と二人きりじゃねえし、花巻と松川がいるなら大丈夫だろうけど、それでも莉緒があの三人の中に女一人でいる事に対して心配はあった。まあ、今までそういう事もあったけど、何となくそれが今は嫌だったし、莉緒の勉強を誰かが見ねえと、ヤバいのも事実。莉緒は元々勉強は得意じゃねえし、家で一人勉強なんかするタイプでもねえ。俺が別に教えてもいいが、俺が苦手な部分もあるし、効率よく莉緒に勉強を教えるには前回同様皆で勉強すんのが一番いい。


「あ、及川。」
「ん?」
「俺、遅れていくわ。」
「うん、分かった。」


 立石の事送ってくって約束があった為、そう及川に伝えた。

 そして放課後、HRが終わり、立石と約束した正門へと急いだ。そして、少し遅れて来た立石と一緒に帰った。立石の家は青城から割と近かった。家に送り届けた後、急いで学校に戻った。そして図書室の扉を開けると、莉緒の向かい側に座り勉強を教える及川。その姿に何故かまた苛立ちを覚えた。


「悪い、遅くなった。」


 そう言って莉緒の隣に座ると、


「え?なんで?」


 莉緒は俺の姿を見て驚いた様子だった。


「莉緒ちゃん誘った後に岩ちゃんに声掛けたんだよ。」


 その及川の言葉に少し不満そうな顔をした莉緒。莉緒はよく及川に対してそんな表情をするが、それが俺に向けられたのは初めてで、結構ショックだった。


「彼女送ってきたの?」
「ああ。」


 嘘ついたって仕方ねえし、正直に及川のその問い掛けに答えた。


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