第13章 恋、気付く時(岩泉視点)
部活を引退し、初めて迎える朝練の無い朝。朝練がねえから早く起きる必要は無かったのに、染み付いた習慣がそんなに簡単に抜ける訳もなく、いつも通り起きてしまった。時間に余裕がある為、のんびり学校の支度をし、学校へと向かった。教室に着いて暫くすると少し眠たそうな顔をして莉緒が登校して来た。
「一君、おはよう。」
それに俺もおはようと返した。莉緒の目が少し腫れてるような気がして、少し心配したが、挨拶を返せば、いつも通り笑う莉緒。俺の前では泣かなかったけど、準決勝敗退となって莉緒も悔しい思いをしたのは一緒だ。
「岩泉さん。」
昼休み、先日言った通りお弁当を作って持ってきてくれた立石にお礼を言って弁当を受け取り席に戻るとクラスメイトから冷やかされた。照れ隠しもあって、冷やかしたクラスメイトを軽く叩いた。そして、初めて食べる立石の弁当はすげえ美味かった。
「莉緒ちゃん!」
聞き慣れた声に反応し、その声の方を見ると、及川が莉緒に抱き着いていた。…クソ川何やってんだ!それを見て、席を立ち上がり及川を引っぺがそうかと思ったが、それを行動に移す前に及川が莉緒から離れた。何を話してるのか聞こえなかったけど、仲良さそうに話す二人を見て何故かイライラした。多分、及川がヘラヘラしてるからムカついてるんだろうけど。つーか、アイツ近くねえか?なんて思ってたら、莉緒と話し終えた及川がいつも通りヘラヘラした笑みを浮かべこっちに来たから何となく殴った。
「痛いよ岩ちゃん!なんで殴るの!?俺何かした!?」
「ムカつく顔してるからだ。」
「理不尽!」
ギャーギャー騒ぐ及川を疎ましく感じた。ホント、一々うるせえ奴だな。
「あ、そうだ岩ちゃん。部活も引退した事だし、これからは皆で放課後勉強会やろうよ。」
「は?お前推薦決まってんだろ?」
「まあまあ、部活引退したからそれではい解散なんて寂しいじゃん?マッキーとまっつん、後莉緒ちゃんはやるって言ってるし。てか、誰かが莉緒ちゃんの勉強見てあげないと浪人間違えなしだよ。」
「…分かった。」
「それじゃあ放課後、図書室でね。」